「え………?」
木村さんのひとことが理解できず、一瞬思考も動きも止まった私。
それから私は慌てて木村さんの手から茶封筒を取り上げ、中を確認する。
「え、なんで……」
やはり、木村さんの言うとおり茶封筒の中身は空で何も入っていない。
昨日、資料を作りコピーし終えた後、この茶封筒が少し厚くなるほどの量を入れた。
こんなに一気に無くなるはずがないし、まず、木村さんに渡す時点で気付けたはずだっただろうと自分に呆れた。
「す、すみません。ちょっと待ってください」
あの茶封筒とこの空の茶封筒、間違えて渡してしまったのかも………
そう思い、デスクの引き出しをガサガサと無心に探る私。
引き出しの手前から奥。それから、あらゆる資料の下。
「うそ……無い……」
しかし、いくら探ったところで一向に出てこない資料の入った厚い茶封筒。

