「へー……そうやって答えてくれたって事は躊躇わずに狙ってください、って言ってくれてると思ってもいいのかな?」
あぁ、もう。ほら、彼がまたぶっ飛んだ事を言い始めてしまったではないか。
「な…ち、違います!!」
必死で訂正するも、平岡さんにそんな言葉が聞こえるわけもなく
「でも胡桃ちゃんに彼氏がいないとはねー……まあ、確かにそんな気はしなくもなかったけどさ。まさか本当にいないとは」
ラッキー、なんて付け足して話を先々進める平岡さん
……ああ、ダメだ。
今のこの人に何を言ったところで絶対耳に入れてくれない。
このままじゃ資料も作れないし、どうしよう……
もうこの人を完全無視して資料作り再開するしかなさそう……。上司に対して無視するなんて不本意だけれど、致し方ないだろう。
私は意を決してイスをくるりと回転させると、パソコンと向かい合った。
が
「そういえば胡桃ちゃんさ」
と言う平岡さんの声と同時に、またくるりと半回転させられたイス
そして私は平岡さんと再び向かい合う状態になってしまった

