ドアを開くと、私が行くべき道の先で待っている愛しい人が見える。

そんな美しくて、愛しい光景の中を、私は大好きな父と歩いていく。


そうして神父の前へと2人並ぶと、神父が口をゆっくりと開いた



「────良き時も、悪き時も、富める時も、貧しい時も…………妻のみに添うことを、神聖なる婚姻の契約のもとに、誓いますか?」


「はい。誓います。」



「────良き時も、悪き時も、富める時も、貧しい時も…………夫のみに添うことを、神聖なる婚姻の契約のもとに、誓いますか?」


「はい。誓います。」



私は、愛しい人と向かい合わせに立つ。



「胡桃ちゃん」



結婚指輪の交換をし終えると、向かいに立つ平岡さんが優しい瞳で私に小さく呼びかけた。

私は恥ずかしながらも、返事の代わりにじっと平岡さんを見つめ返す。



すると



「綺麗だよ。誰にも見せたくないくらい」



私だけに聞こえるように、平岡さんはそう言って私へと微笑みかけてくれた。