私は考える間も無くコクリと頷いた。
「正直、苦手です。本当に嫌です。」
頷いただけではなく、口からは自然と正直すぎる言葉が発せられる。
流石にこれはまずいと思い、口元を手で覆った頃には既に遅し。
「はは、相当嫌われてんなアイツ」
「え……あ……」
完全に、聞かれてしまった。
私が手島さんを嫌いだということが、手島さんにバレてしまったではないか。
「あ、あの……こ……この事は」
絶対に誰にも言わないでください。とは言わずとも、そう目で訴えかける。
こんな事実が社内にバレればそれこそ一貫の終わりだ。
平岡さんはもちろん、平岡さんの事を狙っている女性陣に何をされるか……あぁ、考えただけで鳥肌だ。
「え? ああ、言わないよ。大丈夫」
「すみません…ありがとうございます」
手島さんの優しい笑顔にホッと胸を撫で下ろし、とりあえずはひと安心。

