私の教育担当であるはずのアノ人はというと………
「平岡さんったら、また遅刻?」
「新人教育の担当になったのに、ほんと相変わらずだよねぇ」
「そうね〜。 まぁ、そういうところ平岡さんらしいわよね」
「あはは、確かに」
オフィス内の少し派手目な女子達に囁かれているとおり、遅刻である。……今日も。
ハアアと、周りにはバレない程度に溜息をひとつ。
そして、次々とコピーされて出てくる用紙を手に取るとコピー機の上でトントンとバウンドさせて纏める。
……本当に私は、この会社を長く続けられるのだろうか。
ふとした瞬間に、私はそんな事を何度も何度も考える。
そのくらい、この会社……いや、あの教育担当の平岡さんに私は悩まされている。
OFLという会社自体に問題は全くない。寧ろ、こんな私を雇ってくださった事に関して感謝しなければならないくらいで。
だが、あの上司が問題なのだ。ただ一人、あの上司だけが。

