ウィーン────
カタ、カタカタ───
「小松さん、ちょっとだけ席外すから何かあったら呼んで。第一会議室にいるから」
「あ、はい」
「1人にすることになっちゃってごめんね。まぁ、すぐ戻ってくるだろうけど少しの間コピー宜しく」
「はい、大丈夫です。」
あっという間にやって来た出勤2日目。
私が扱うコピー機の音と、周りのキーボードが打たれている音。
そんな音たちの飛び交うオフィス内で、私は手島さんに作業内容を教わっていた。
………そう、アノ教育担当ではなく〝手島さん〟に。
「はぁ」
まぁ、手島さんはあの人と違って真剣且つ丁寧に教えてくれるし、紳士だし、オマケにかっこいいし
正直なところ、こっちの方が断然仕事をしやすいのだけれど。

