どうしようか、と真剣に悩んでいる平岡さんは本当に何を考えているのか分からない。
「……平岡さん、冗談にしても大袈裟ですよ。もうやめてください」
冗談にしても、大袈裟すぎる。
そこまで大袈裟にお世辞のような事を言われると、何だか私の方が惨めに思えてくる。
「はあ、あのさ…冗談だったらこんなに困らないんだケド。みんなが胡桃ちゃんのこと好きになっちゃったらどうすんの」
胡桃ちゃんに嫌われてる俺はもっと不利になるじゃん、と平岡さんは眉間にシワを寄せる
この人の冗談は本当に心臓に悪い。
冗談なはずなのに、たまに、少しだけ冗談に見えなくて、ドキッとしてしまう。
でも
本当はこの人の冗談なんかよりも、間に受けてしまいそうになる自分が一番嫌だ。
ああ、私はこの始まったばかりの社員旅行を無事に乗り越えられるのでしょうか。──────

