「──ちょっと、ねえ、待ってってば!」
声を掛けても完全無視。
話を聞いて貰おうとヒサギの腕を掴むが、振り払われてしまった。
着いて来るなと言われないだけマシだと思う事にして、ハルキはヒサギの後を追った。
「──どこまで着いて来る気だよ」
ヒサギの住むマンションまであと5分程となった所で足を止めたヒサギは、後ろを歩くハルキへと向き直った。
「え、えーと、ヒサギちゃんちの玄関?」
予想していた通りの返事にがっくりと肩を落としたヒサギは、隣に並んできたハルキを軽く睨んで溜息を吐いた。
「お前のそーゆーとこ、昔から変わらねぇよな」
ポツリと呟いて、ヒサギは歩き出す。
何か言葉を交わすでもなく、マンションまでの道程を2人で歩いて行った。


