好き嫌いだの何だの騒ぎながらも、まとまりの無い4人がひとつの鍋を囲むというのもたまには悪くはない。

 ハルキお手製のもつ鍋はシメのラーメンまでしっかり食べて、きれいに無くなった。

 何気無くサユコが時計を見遣ると、22時を過ぎている。

 そろそろお開きにしよう、という事になり、駅まで歩いて行くというサユコとルウにハルキは待ったをかけた。


「女の子2人で夜道は危ないでしょ。送って行くよ」

「お前何言ってんだよ。送るならヒサギだろ?」


 その一言にビクリとハルキは肩を揺らす。

 ハルキは高校時代から、密かにヒサギの事が好きだった。

 隠しているつもりではいるが、いつのまにやらサユコとルウにはバレていて、気付いていないのはヒサギ1人という状態。

 サユコに言わせてみれば、ハルキはヒサギが大好きだというオーラが出まくりらしいが、そもそもハルキはそういうキャラなのだとヒサギが勘違いしている節があり、8年越しの想いは未だに燻っているのだった。

 とは言え、こんな時間に気を遣われても素直に喜べない。


「おいサユコ! 余計な事……」

「余計なことって何? ヒサギちゃん何かあったの?」

 ハルキの視線から逃げるようにして、ヒサギは黙り込んでしまった。