ズルッ

しまった、手が滑った。
そう頭が認識したときには自分ではどうしようも出来ないような体勢になっていて。


危ない______っ!
ギュッと固く目を閉ざした。
……と同時に


「音無さん!」

まさか、貴方の声が聞こえるなんて。
幻聴かな、と少し自分を疑ったりしたけれど、幻聴や幻覚では説明できないような、温かくて優しい温度が私を包んだ。

私をそのまま引き上げてくれて、恐る恐る目を開けると




「月影くん……?」
あの月影くんが、私を抱きしめてくれていた。