俺様魔王の甘い口づけ



結局。
私の方から「文字を教えて」とお願いして、渋々と言った形でルイに納得させた。

気になってソワソワしているルイの姿も見れたし、満足だ。
ここの文字を知りたいのは、私も同じだから。




「なぜ俺様が貴様に教えねばならんのだ」

「芽衣子」

「は?」

「私の名前よ、芽衣子。め、い、こ!」




本がたくさんあるあの部屋で向かい合って座る私とルイ。
まずは、ずっと気になってたことを告げた。
ルイは、人の名前を呼ばない。

ずっと気になっていたけど、そう言えば私の名前だけじゃなくてハンスやリオンの名前を呼んでいるのも聞いたことがないんだ。




「だからどうした」

「どうしたって…。ちゃんと名前で呼んでよ」

「なぜ貴様のような人間を名前で呼ぶ必要がある」

「なぜって…」

「貴様と呼んでもらえるだけでもありがたく思うのだな」




なんで私がありがたく思わなくちゃいけないわけ。
じとっとした視線を送る。
そんなもの、ルイには無意味だけど。



「そもそも、貴様はなぜ俺様を呼び捨てにしていいと思っているのだ」

「は?」

「俺様の高貴な名が汚れるではないか」




なにその言いぐさは。
むかつく心を必死で抑える。