「帰りたいなどと、ピーピーと泣いていた奴が、えらく強気ではないか」
「悪い?いつまでもルイの思い通りに行く私じゃないのよ」
強くなる。
いつか戻れる日まで、絶対に生き抜いて見せる。
帰りたいと願うなら、絶対に死んではダメなんだ。
「そんなに足を震わせ、よく言う」
「…っ」
勝ち誇ったようなルイの声。
ばれてしまった。
私は顔をしかめ目を閉じた。
殺されるかもしれない。
そう覚悟を決めながら…。
でも
「なにをしている」
聞こえた声は穏やかだった。
私が顔をあげるとルイはもうその先にいた。
「え、なにが…」
「お前が言ったんだろう。飯だと」
「あ…」
きっと、怒っていると思ってたのに。
あんなにも、強気で大見得切ってあんなことを言ってのけた。
でも、隠していたはずの恐怖が見破られ、きっと物思いに殺されてもおかしくないと思ってたのに。


