俺様魔王の甘い口づけ




「大体、人間で言う20歳は悪魔でいう100歳くらいといいましょうか…」

「へ、へえ…。じゃあ、…今って何歳なの?」

「ルイさまは、人間でいう21歳くらいの歳になられますので、105年程生きておられます」


105年…。
私の感覚では、ものすごくおじいちゃんだけど。
人間でいう21歳なのか…。
百年以上も生きてきて、ずっと一人なんだろうか。
それに、その魔王の血をどうして人間が欲しがるのか…。



「話を戻しまして、魔王さまの血を飲めば、同じように長い命を与えられるのです」

「長生きできるということ?」

「ええ。しかしながら、人間の体内に入ったとして、人間自身の血と交わり薄まることで我々悪魔ほどは永らえはできませんが」

「それでも、本当に長生きできるんだ」




だから、長寿の力を欲しているということ?
そのために、ルイの命を狙ってる。
それじゃあ、人間の血を吸い殺すルイと変わらない。


「不老不死、とはいきませんが、老化も人間の速度とは比べ物にならないでしょうからね。その効果を求める人間は多いでしょう」

「だからって、魔王の命を狙っていいことにはならないでしょう?」

「もちろんです。…理不尽に命を狙われ、人間ごときの襲撃に負けるルイさまではないですが、ルイさまの心は深く傷ついております」





傷つく…。
なんだか、似合わない言葉だと感じながらも。
もしかしたら、あんなに冷酷で非道になったのもそのせいなのかもと思ったら、少し可哀想になった。