「むしろ、人間は俺様が死んだ方が幸せなのだ」

「は…?」



そりゃあ、血を吸い取られる恐怖はよほどの事だろう。
でも、それよりも、そう言うルイの表情が少し悲しげなことが気になった。
そんな表情をするんだ…。



「…そりゃあ、あんたが血を吸って殺しちゃうからじゃないの」

「加減など知らん」

「加減って…。そもそも吸わなければいいでしょうに」



別にご飯だってちゃんと食べてるんだから、栄養だって足りてるんじゃないの?




「…命って大切なの。どんな命にだって重みはあるのよ」

「そんなもの、俺様が知るか」

「知ろうとしなさいよ。…あんたが、リオンを殺さない理由ってなに?ハンスを側に置く理由は?」



人間であるリオン。
彼は、私から見ても特別有能というわけではないと思う。
それなのに、側に置いて助言のようなこともしたという。
ハンスだって、同じ悪魔だとしても、自分の傍らに置いている。
例えば、気に入らないことがあったとしてもきっとハンスなら殺したりはしないだろう。




「それって、二人を大切だと思ってるからでしょう?」

「俺様が?笑わせるな」

「あんたに自覚がないのは仕方ないけど。でも、そう言うことだよ。二人はあんたにとっては、大切な仲間だったり、もしかしたら家族なんじゃないの?」