「この木がどうかしたのか」
ルイが木を見上げながら呟く。
私はその隣に並び木を見上げた。
「この木、思い出の木なの」
「思い出?」
「うーん、正確にはこれから思い出になるの」
ルイと、よく見上げたこの木。
駆け回るリスを眺め、あの木の枝に登った。
「でも、もしかしたらその思い出もきえるかも・・・」
「どういうことだ」
「・・・それでも、私は諦めたくない」
私がここに来たのは、それを止めるためなんじゃないのか。
そのために神様が、ここに私をよこしたんじゃないのか。
魔王の定めに苦しんできたルイのために、神様がくれたプレゼントなら。
私は、全力で守らなきゃ。
「お前は、おかしな女だな」
「え?」
「俺のために泣く」
「・・・うん」
「俺の事を愛しているという」
「うん」
だって、本当の事だから。
ルイの事が本当に大好きで、大切なの。


