俺様魔王の甘い口づけ



こんな子が、この城でやっていけるんだろうか。
いや、やっていけてるからここにいるんだろうけど。

あの魔王はなにも言わないんだろうか。
こんなおどおどイジイジしていたら、イライラしそうなものだけど。

短気そうだし。



「えと、あなたが私を案内してくれるんだよね?」

「…はい」



リオンは、そうとだけ言うと黙る。
静まり返る室内。





「じゃあ、お願いしてもいい?」

「はい」




…会話が、続かない。
いや、いいんだけどさ。
会話をしたいわけではないんだけど。



私が立ち上がり進むと、それに合わせて歩き出す。
ついてきてくれる気は確かにあるらしい。




「…執事の仕事って、楽しい?」

「……はい、…充実…してます」

「そうなんだ」



充実、してるの?
ただ、つかいっぱしられているだけじゃないの?
少し不安になる。