洞窟の奥にその魔術師はいた。



ルイがここに来ることはさもわかっていたように。
薄ら笑いを浮かべながら、待ち受けていたのだ。




「やあ。魔王さま」

「貴様が、魔術師か」

「ああ。その通りだよ。私が、魔術師のリリー」




ルイは、リリーという魔術師を睨みつける。
そこらの魔物ならその一睨みで怯えるところだが、リリーはそうはならない。





「貴様が・・・貴様が芽衣子をそそのかしたのか!」

「そそのかす?私は、交渉しただけ」

「なんだと」

「それに、それでいいと言ったのは芽衣子自身だ」




リリーはまっすぐにルイを見据えながら言い切った。





「それほどまでに、芽衣子は元の世界に戻りたかったというのか」

「元の世界?何の話?」