「これを飲めば、呪いは解けるんですか?」
「ああ。だが、そんな簡単なものではない」
「え?」
魔術師の言葉に、浮いてきた気持ちが再び落とされる。
飲むだけじゃ、ダメだって言うの?
だったらどうしたら・・・。
「必要な物は、“愛”さ」
「愛・・・?」
「ああ。心から、魔王を救いたいと願う者がこれを口に含み、口づけで魔王にその薬を流し込む」
魔術師は顔を上げ、私をまっすぐに見つめた。
初めて見えたフードの下の顔。
魔術師は勝手なイメージでおばあさんのような気がしていたけど、想像以上に若い女の子だった。
喋り方からして、おばあさんかと思っていたのに。
ギャップだ。
「ただこの小瓶を渡して飲ませるだけではだめ。闇雲に誰かが口移しをして飲ませればいいというものでもない」
「そんな・・・」
「その者を、心から愛し、救いたいと願う者の口に含まれることにより、この薬に力が宿るのさ」


