「元気になったら、部屋にいるの暇だったから・・・」
「そうか・・・。よかった」
木々がざわめく。
木の上のリスたちが、私たちを見下ろしている。
「心配、してくれたの・・・?」
「当然だろう」
当然・・・か。
きっと、出会ったころのルイからは想像できない言葉じゃないかな。
人間なんて、ただの食料くらいにしか思っていなかったもの。
「そうだ、ルイ・・・。大丈夫だった?禁断症状でたんじゃ・・・」
「芽衣子の事、考えてたら・・・そんなこと考えている余裕なかった」
「そうなの?」
じゃあ、人間の血を吸ってはいないということ?
私の血をすえなかったから、てっきり人間の血を吸っているんだと思ってた。
ちゃんと、吸わずに待っていてくれたの?
「ルイ、私の血吸っていいよ」
「・・・なにを言ってるんだ。お前は、元気になったばかりだろう」
「でも」
「お前は、なにも心配しなくていい」
ルイの大きな掌が、私の頬を撫でる。
笑った口元から見える牙。
今は、もう怖くなんてない。


