「だが…、強情なくせに泣き虫で、俺の事が怖いくせに刃向ってくるお前を見ていたら、目が離せなくなったのだ…」
「ちょ…」
自分の分析をされるのは少し気恥ずかしいものがある。
「そのうえ、あれほど拒んでいたくせに自分の血を差し出そうとする変な人間」
「そ、それは…」
「そんな人間を、少しだけ信じてみようと思ったんだ」
ルイの掌の上で、身づくろいを始めるリス。
とても安心しきっているその姿が、微笑ましく思える。
「以前なら、この俺にリスが近づくことなどなかったのにな」
「ルイが放つオーラが変わったのよ、きっと」
私が見る限りでも、少し柔らかくなった気がするもの。
こんなにも人って変れるんだ。
ルイはそっとリスを木の枝の上に帰す。
リスが再び走り出したことを確認すると、ルイは隣にいた私の腕を引き木に押し付けた。
「きゃっ!?」
「俺様をここまで変えたのだ…。きちんと責任を取ってくれるんだよな?」
グイッと近づけられた顔。
低く痺れるような声でささやかれる言葉。
口元から見える、牙さえも色気があるように見える。


