俺様魔王の甘い口づけ




魔王の仕事というのは、私にはよくわからないけどなかなか忙しいらしい。
私はこの城しか知らないけど、もっと先には違う城が何個かあってそれぞれ悪魔がおさめているらしい。

それぞれを纏めるのが、魔王の仕事なんだって。


魔物はあの森でたくさん会ったけど、他の悪魔ってみたことない。
いったいどんな人たちなんだろう。



恐ろしくて会いたくはないけれど。



リスの木を眺めながらそんなことを考える。





「ここがすっかり気に入ったのだな」

「あ、ルイ。もういいの?」

「なにがだ?」

「忙しそうだったから」

「ああ…」




ルイが私の隣に並ぶ。
前ならきっと、警戒していたと思う。
でも、今は…。



「ハンスに、聞いちゃった」

「…なにを」

「魔王の定めのこと」

「あいつめ…」

「ハンスを責めないでね。私が問い詰めたんだから」




ルイは、そう言いながらもあまり怒った様子はない。
それを見て安心する。