「ですが、今ルイさまは魔王の定めに抗おうとされています。芽衣子さまに出会われたからです。芽衣子さま、どうかルイさまを支えてあげてくださいませ」
「ハンス…」
「芽衣子さまは、自分の血をルイさまに捧げようとされているようですが…。そのことに関しても、ルイさまは苦しんでおられます」
「え…?」
ルイが、苦しんでいる?
私の血を吸うことを?
「芽衣子さまを犠牲にしているようで、それが苦しいのだと思います」
「そんな、私は平気なのに」
私のわがままでルイを苦しめてる。
そんなルイの役に立てるなら。
「そんな芽衣子さまが、重なってしまうのでしょうね…」
「え?」
「…いえ。なんでもございません。ですが、芽衣子さま。ルイさまの事、よろしくお願いいたします」
深々と、頭を下げられ私は戸惑う。
そんな風に期待を込められてしまうと私はどうしたらいいのかわからない。
私は、ただ私のわがままだけで突っ走ってきただけだもの。
「ルイにしてあげられることって、なにかな?」
「…笑っていることだと思います。芽衣子さまの笑顔は私たちの心を癒してくださいますから」
ハンスがにっこりと笑った。


