｢長年、そうして続いてきた魔王の称号の継承ですが…。そうするには意味があるのです｣
｢い、意味…？」
｢自分の血を分けた肉親をも殺してしまう。それほどまでに残忍であることを魔王は要求されているのです。すべての魔物、悪魔の頂点に立つ者はその力を下級の者に知らしめなければならないと…｣
自分が、一番偉いのだと知らしめるため？
力で恐怖で支配して、自分の権威を保つため？
｢魔王さまは、代々たくさんの人間、魔物、悪魔の命を無残に奪って行ったそうです。その恨みがその血に宿り、それでも、血を浴び続けたいと願った過去の魔王の思いが呪いとして吸血衝動が生まれたと言われています｣
｢……そんな｣
｢その呪いと言われる吸血衝動により多くの人間の命はまた奪われているのですから、本末転倒のように思うのですけどね…｣
そんな呪いに、ルイは苦しめられていたんだ。
恐怖の対象であらなければならないと、そう定められた未来。
ルイはそれをどんな気持ちで受け入れたんだろう。
｢…申し訳ありません。こんな話を…｣
｢ううん。ありがとう、教えてくれて｣
｢芽衣子さま…。ルイさまはずっと諦めてこられました。その定めに抗うことは無駄だと、定めのままに生きようとしていたのです｣
最初の頃のルイは、まさにそうだった。
残忍で、冷酷でその瞳には温もりがなかった。
でも、変わろうとしてる。
抗おうとしてくれているの？
