俺様魔王の甘い口づけ




「魔王の定めって…いったいなんなの?」




悪魔にはない吸血衝動。
それをどうして魔王だけが持っているのか。




「定め…というよりも、吸血衝動は…呪いのようなものなのです」

「呪い…?」

「魔王になるための儀式が…それを引き起こす原因なのです」

「魔王になるための儀式って、なに…?」




胸騒ぎがする。
いい話ではないことは確かだ。

その儀式をするから、魔王になって吸血衝動がうまれるということ?




「人間でいう成人になる、ちょうど生誕100年の日にそれは行われるのです」





ハンスは、淡々とした低い声で話す。
ごくりと生唾を飲み込み、私は静かに話を聞き入った。




「次期魔王になる者は、その手でその時の魔王を殺すのです。剣で胸を一突きにして…」

「…っ!」

「その胸がから溢れだした血が、剣を伝い次期魔王になる者の手に触れ…。その血を浴びることにより、魔王の力が次に受け継がれるのです」





手が震えた。
想像以上の恐ろしさに、言葉も出ない。