俺様魔王の甘い口づけ




結構続けざまに血を失ったからか、今回は動けるようになるまで少し時間がかかった。
自分の部屋に戻ろうとした私をルイは制し、私はずっとルイの部屋で眠っていた。

ルイはいろいろと忙しいようでずっと部屋にいることはないけど、用がないときには私の側にいてくれていた。
私の側に、というよりそこがルイの部屋だからという理由なんだろうけど。



最近のルイは、少し憑き物が落ちたように優しい。
最初の刺々しさとか、恐ろしさはあまり見られなくなっている。




「それは、芽衣子さまに対してですよ」




動けるようになった私が自分の部屋に戻り、ハンスが運んでくれた紅茶を飲みながら話をしていた。
その話の流れでルイが優しくなったと話したら、ハンスは笑ってそう言った。




「相変わらず、魔物たちにはお厳しいですから」

「え?そうなの?」

「はい。まぁ、無闇に殺したりといったことはなくなりましたので、それは変化と言えるでしょうが」




初めて会った時のルイは、躊躇いなく気に入らない魔物を切り捨てていた。
でも、それはなくなったんだね。
不思議だ。
そんな日が来るなんて。




「…ハンスは、知っていたんだよね?ルイが血を吸わないと死んでしまう事」

「……はい。すみませんでした」




だからこそ、反対した。
そして、血を欲している禁断症状が出ていることに気づいていて私をルイのところに行かせることをためらったんだ。