ジリリリリリリ.....

けたたましい音が室内に鳴り響く。

重たい体を起こしてその音の発信源である目覚まし時計にてを伸ばすと、その針は9時を指していた。
「やっべーー!!1時間間違えてた!!」


俺、一宮 斗真イチノミヤトウマ。
一応この物語の主人公である。

今日から名門お坊ちゃん学校。
「桜ヶ丘学園」に通うことになっている。
(初日から遅刻とかまじねーって....)
寝癖なんかに構っていられる訳が無い。

急いで支度をして家を飛び出す。

ちなみになぜ俺がそんなお坊ちゃん学校になんか通うことになったのかというと、爺ちゃんの他界が原因だ。

幼い頃に両親を無くした俺は爺ちゃんだけが頼みの綱だった。

でもその爺ちゃんも居なくなり、1人呆然としていると、親戚が理事長である、この学校に通えと言われたのだ。

この学校なら全寮制だし、俺もそろそろ独り立ちし無ければならないと思い、それを承諾した。
(うわ~でっけー建物...)
そうこうしているうちに学校についた。
入口を見ただけで呆気に取られてしまう。

鉄でできた頑丈な門の向こうに見えるのは城みたいな立派な建物だった。

「つかこれどうやって入ればいいんだ?」
門は固く閉じていて開こうとしない。

「まじかよ...」
諦めかけたそのとき

「うわっ!」
何かに肩がぶつかる。

振り返るとそこにはいかにも不良と言う雰囲気を醸し出している青年がたっていた。

(あちゃー...)
「....気をつけろ。」
その青年は一言だけ言って門にカードをタッチして入ろうとする。
「あ、あの!!」
「....なに.」
「俺今日転校して来たんですけど、何も聞いてなくて、その...」
青年の雰囲気に圧倒されて、うまく言葉が繋げない。
「こっち...」
「え?」
「ついてきて、職員室、案内するから」
「あ、はい!」
スタスタと歩いて言ってしまう青年の後について、俺はいよいよお坊ちゃん学校に足を踏み入れたのだった。