サクセサーズ

「リリィ、夜遅いのに悪いの。起きているかい?起きていたら、ドアを開けてくれないか」



それはひどくしゃがれた声だった。リリィはすぐに村長だとわかった。身体は震え、心臓がばくばくと鳴っている。



震える彼女の細い手を、アレンはギュッと握りしめた。そして、耳元でそっと囁いた。



「今から開ける。ドアを開けた瞬間全力で走れ。わかったか」



こくん、と黙ってリリィは頷いた。アレンもよし、と相槌をうった。