サクセサーズ

外がやたら騒がしい気がする。こんな遅い時間なのに、村の人たちが松明を照らして外に出ている。リリィの住む家を取り囲んでいるように見えた。



「チッ…勘のいい奴らだ。取り囲んでいるな。この家を」



「え、そ、そんな…」



リリィは滅多に村の外に出ないことと、アレンという突然の来訪者が来たことを疑ってのことだろう。門番や村の住人が村長たちに伝えたに違いない。



「いいかリリィ。奴らは多分お前が俺と逃げることを全力で阻止しにかかってくる。ヘタしたらお前は囚われ奴隷商人に売り飛ばされ、俺はここで殺されるだろうな」



「ヒッ…!!」



死。その一言が脳裏をよぎる。



「安心しろ。俺は剣士のはしくれだ。いざとなったら…」



「そ、そんな、それだけは。今までお世話になった人たちが傷つくのは見たくないよ…」



リリィは必死になって、アレンにそれだけは、と食ってかかった。しかし、アレンはそれを聞き入れなかった。



「今はそんなことを言ってる場合じゃない…シッ!入ってくるかもしれない」



「う、うぐっ」



アレンはリリィの口を手で塞いだ。





トントントンと、優しくドアをノックする音。あたりに緊張が走る。