サクセサーズ

リリィは準備を終えて部屋の明かりを消した。使い古したこの部屋ともお別れである。



村の人たちは優しくしてくれた。16になるまで育ててくれたのは本当に感謝している。



しかし、売られて奴隷にしてしまおうと言う裏話を聞いた時には目の前が真っ暗になってしまった。



確かに、村の生活が苦しいのは前々から知ってはいた。もしかして、それでどんどん若い男女が売り飛ばされていたのだろうか。



真実はわからないが、奴隷にされるのだけはごめんである。




リリィはタンスの上にあった写真を手にとって見つめた。それは、親友のローラと一緒に撮った写真だった。



ローラはリリィと同い年の女の子だ。どちらかというと気の強い性格をしているが、リリィとは馬が合い一番仲がいいといっても過言ではない。



ローラに黙って村を出るのは少々気が引ける。せめて、真実を伝えてこの村を後にしたい。



ふうとため息をついて、写真立てを裏返しにした。