サクセサーズ

霧が晴れてきて、視界が定かになったときリリィは違う場所に立っていた。雪がしんしんと降り積もるどこかの中庭。


小さな子供が一人で遊んでいた。雪を触ったり、銀世界の中を走り回ったり。とにかく微笑ましい光景だった。



そこに背の高い子供が二人、小さな子供の側にやって来た。すると、いきなりその小さな子供を蹴り上げ、殴りつけたのだ。



「ちょ、ちょっと…!」



リリィがやめさせようと二人の手を掴もうとしたが、リリィの手はするりと抜けて、呼びかけにも反応しない。


リリィがいくらやめさせようとしても手はすり抜けて行く。まるでそれは、透明人間になった気分だった。