サクセサーズ

「なぜお前は旅をしたい」


「そ、それは…行く当てがないから」


「お前は何を言っているんだ?お前の故郷はここじゃないのか」


リリィは今にも泣き出しそうな顔になっていた。目は少し赤くなっていて声も涙声になりかけていた。




「わ、わたし…の両親がここに赤ん坊だったわたしを置いてどこかにいってしまったの。自分が何者なのかどうして魔法が使えるのか、何もわからないままなの。だ、だから…」



アレンはその言葉を聞いて対応に困った。魔法が使えるとしてもこいつは女だ。



危険が隣り合わせの旅など本当はさせたくはないのだ。



「村の人たちはこんなわたしにもこうやって部屋を分け与えてくれてみんなとても親切にしてくれていて…ずっとずっとここにいたいって思っていたの…でも」



「でも?」



リリィの目からぼろぼろと涙がこぼれ落ちていた。泣きじゃくりながら話し続けた。


「さ、最近…村の人たちが話をしているの。魔法の使えるわたしをう、売れば…お金になる……そうだ、しばらくしたら売り飛ばしてしまおうっ…て。し、信じてたのに…!」



感情的になってしまったのか、リリィは激しく嗚咽した。