サクセサーズ

お互いに何も言わず只々その場にしばらく静寂な時間が流れる。月が雲隠れした時にふとアレンがその手を止めて、剣を鞘にしまった。



しまった。あのガキ…ルキのことを忘れていた。




アレンはベッドから飛び降りて、部屋を出ようとした。その時リリィも一緒に行くと言って、その後ろをついてきた。



辺りは物音一つもしないかつ、明かりは壁にかけてあるわずかな蝋燭かちろちろと灯しているくらいだった。




リリィが魔法の詠唱をし始めた。詠唱の文字が紡がれていく。ルミエールと最後唱えると、蝋燭の火が大きなものになり、辺りが見違えるように明るくなった。




「悪いな…リリィ」



お礼を言ってくれたアレンの表情はいくらか落ち着いた面持ちになっていた。よかった、機嫌を直してくれたのかとほっと胸を撫で下ろしたリリィだった。