「……私から離れたくないから、だろ?」

優衣の顔がまたあがる。

「離れたくないから、そうなんだろ?」

優衣の目から涙がこぼれた。

「……離れたら、誠司さんのそばにいられないじゃないですか………」

嗚咽をもらしながら、優衣が言った。

「確かに、それはそうだ。

私だって離れたくないと思っている。

でも」

言いかけて、私は止まった。

優衣が泣き崩れていたからだ。

私は彼女のそばに行くと、抱き締めた。

私の腕の中でも、優衣は泣きじゃくっていた。

「でも、頑張って欲しいんだ」

私が言うと、優衣は私を見上げた。

「優衣には、頑張って欲しい。

海外へ行っても、どこへ行っても」

「……そう、なんですか?」

私は優衣を強く抱き締めると、
「お前が逢いたいと思ったら、逢いに行く。

電話も、手紙も、メールもする」
と、言った。

優衣は私の背中に手を回すと、
「本当、ですか?」
と、言った。

「本当だ。

だから、頑張ってきてくれ」

私が言うと、優衣はうなずいた。

「約束します」

私の耳元で、優衣が言った。