「……妊、娠……?」

初めて聞く言葉のように、優衣が呟く。

まさかと、思いたかった。

しかし、これが現実だ。

「冗談ですよね?

誠司さん」

優衣が聞く。

私はゆっくりと口を開くと、
「本当かどうかは、私にはわからない。

ただ……本当に妊娠していたら、その子は……その子は、正真正銘私と優衣の子だ」
と、言った。

優衣の目から、涙がこぼれた。

「本当かどうかだぞ?」

私は優衣の髪を撫でながら言った。

そう言っている私の目からも、涙がこぼれていた。

「……なあ、優衣」

涙声で、私は呼んだ。

「もし……もし、妊娠していたら、産んでくれるか?

私の子を、産んでくれるか?」

最後の部分は、消え入りそうになっていた。

涙をこぼしながら、優衣が私をじっと見る。

「産んでくれるなら、私を……私を、抱き締めてくれ」

全部言う前に、優衣が私を抱き締めてきた。

「……産むに決まってるじゃないですか」

涙混じりの優衣の声。

「……好きな人の子供を、産まないって言う人は、いないでしょ……?」