私の問いに、優衣がうなずこうとした時、彼女は手で口をおおった。

「んっ……!」

優衣は私から逃げるように、キッチンを飛び出した。

「優衣!?」

私は追いかける。

追いついた時、彼女はトイレの便器に顔を突っ込んでいるところだった。

私は黙って立って見ているだけだった。

優衣が便器から顔をあげた。

「……大丈夫か?」

私は聞く。

優衣はうなずくと、水を流した。

まだ気分が優れないと言う優衣を、私はリビングまで運ぶと、ソファに座らせた。

コップに入れた水を渡すと、優衣は1口だけ飲んだ。

「もう、大丈夫か?」

優衣の背中をさすりながら、私は聞いた。

優衣はゆっくりとうなずいた。

「一体何があったんだ?」

「……1週間、くらい前から体調が悪かったんです。

生理も、予定日を過ぎたのに、全然来なくて……」

話を聞いた私は、背中をさする手を止めた。

まさかと、私は思った。

でも、聞かずには入られなかった。

「なあ、優衣」

私は、その言葉を告げた。

「……妊娠、したんじゃないのか……?」