その日から、眠れない夜が続いた。

眠りが浅く、昨日の疲れが残っている日々が多くなった。

お酒の力を借りても、ますます眠れなくなるだけ。

私の体力は、限界に近づきかけていた。


あの日から1ヶ月近く経った夜のこと。

私は1階に下りた。

もう眠れない日々が続いている。

頭がクラクラする…。

おぼつかない足取りで、キッチンに向かう。

「………あれ?」

キッチンに電気がついていた。

朝香は私の隣で眠っていたはずだ。

じゃあ、優衣か?

そう思いながら、私は灯りが灯っているキッチンに入った。

パジャマの背中が見えた。

「優衣?」

私はその背中に声をかける。

私の声に背中はビクッと躰を震わせると、振り返った。

「……誠司さん」

優衣だった。

「どうした?」

彼女の様子を見た私は聞いた。

優衣の顔は、誰から見てもわかるくらい青かったからだ。

「気分が……気分が、悪くて…」

消え入りそうな声で、優衣が言った。

「大丈夫か?」

私は聞く。