「それに、今日はあなたの誕生日でしょう?」

誕生日――そうだった。

今日は、私の誕生日なのだ。

「だからね、何ヶ月も前から頼み込んでいたの。

ここ、予約が取れないから」

ほろ酔い状態で言う朝香。

そんな彼女を見ながら、私は罪悪感でいっぱいだった。

浮気だと、疑っていた。

間違いであって欲しいと思いながらも、心のどこかでは疑っていた。

朝香を軽蔑していた。

それなのに、本当に間違いだった。

浮気相手だと思っていた相手は、このレストランを経営する甥っ子。

朝香は私のために、密かに甥っ子に頼み込んでいたのだ。

そうとは知らず、私は疑っていた。

優衣と結ばれてしまった。

私は朝香の顔が見れなくなっていた。

後悔と罪悪感の2つが、胸の中で渦巻いていた。