永遠の君に

「とにかく、早く行った方がいいかも知れない」

「そうした方がいいと思う。

ママ、すごく苛立ってた」

朝香の怒った顔を想像したとたん、私は震えた。

「とにかく早く帰ろうか」

私は車を走らせた。


優衣を家まで送ると、私は朝香がいるレストランに向かった。

時間は午後9時数十分前。

レストラン近くの駐車場に車を止め、小走りで向かう。

レストランの前で呼吸を整えると、私はドアを開けた。

「いらっしゃいませ」

ウエイターが頭を下げて迎えてくれた。

私は目を疑った。

何しろ、そのウエイターの顔に見覚えがあったからだ。

今日初めて会ったはずなのだが……。

「……ああ、知人がいるはずなのだが……」

「すぐお席の方へご案内致します」

ウエイターに案内されるように、私は朝香がいるテーブルについた。

朝香はワインを飲んでいた。

来てからずっと飲んでいたのか、彼女はテーブルに突っ伏していた。