永遠の君に

車に乗り、エンジンを鳴らしたのと同時に、携帯電話が鳴った。

私のではなく、優衣のだった。

鳴っている携帯電話をカバンから出すと、優衣はそれに出た。

「もしもし?

ママ?」

朝香らしい。

「え?

今どこかって?

うん、ちょっと…。

君塚さん?」

私の名前の部分だけ、優衣の声が大きくなった。

優衣と目が合う。

優衣はパッと視線を反らすと、
「ううん、知らない。

電話は?

……出ない?」

朝香とのやりとりになった。

私は黙って、その様子を見ていた。

「わかった。

わたしからも電話するよ。

見つかったら、すぐに言うから。

じゃ」

電話を切った彼女の顔から疲れが見えていた。

「どうしたの?」

私は聞く。

「ママが誠司さんに用があるみたい」

「用?」

「『ライディーン』って言うレストランで待ってるからって」

ライディーン――その店の名前には聞き覚えがあった。

確か、朝香の親戚が経営しているレストランの名前。