永遠の君に

「今日行きたいところがあるんです」

朝食の時、私は優衣に言われた。

「どこに?」

トーストをかじりながら、私は聞く。

優衣はニコッと笑うと、
「内緒です」
と、言った。

私が優衣とこんな会話ができるのは、朝香がいないからだ。

彼女は私が目覚めた時にはいなかった。

せっかくの休日も、朝香は仕事だ。


優衣を車に乗せ、私は彼女が行きたいと言う場所に連れて行った。

2時間くらい車を走らせ、駐車場に車を止めた。

車から降りた私の目に飛び込んできたものは、大きな観覧車だった。

遊園地だった。

「誠司さん」

歌うような口調で、優衣に呼ばれた。

「え?

行きたいところって…?」

「ここですよ」

イタズラが成功した時のような子供の笑顔を見せる優衣。

「ここだったら、わたしと誠司さんの関係を知っている人なんていませんし」

そうかと、私は思った。

要は、デートなのだ。

私と優衣はデートらしいデートをしたことがなかった。

したと言うなら、卒業式の日の食事くらい。

けど、あれはまだ私たちが関係を持つ前のこと。