永遠の君に

「大丈夫ですか?」

佐々木が顔を覗き込んできた。

「大丈夫さ。

ちょっとした夏バテだ」

私は笑うと、控え室に入った。


昼過ぎに行われた演奏会が、日が沈んだ時刻に終わった。

ホテルの一室で他の審査員たちと話し合うと、部屋に戻った。

熱いシャワーを浴びていたら、時間は11時を差していた。

優衣は、どうしているのだろう?

そう思った時、鏡台の前に置いてあった携帯電話が鳴り出した。

「はい」

電話に出た。

「誠司さん?」

優衣だった。

私は電話を片手にベッドの上に座った。

「どうした?

何かあったのか?」

「…声が、聞きたくなっちゃって」

私は思わず吹き出した。