永遠の君に

何してるんだ…。

そう悔やんでも、言ってしまった言葉がまた元に戻ると言う訳ではない。

恨みたくても、言葉は人ではないので恨めない。

その時、私の唇が柔らかいものにふさがれた。

優衣の唇だった。

私は優衣とキスしていた。

長いキスだった。

優衣がゆっくりと唇を離した。

離れた唇は、怯えたように震えていた。

「優衣…?」

突然過ぎる出来事に、私は上手く声が出ない。

「……好きだったんです」

震える声で、優衣が言った。

「ファンだった時からあなたが好きだったんです。

1人の男の人として」

それが告白だとわかるまで、数秒もかからなかった。

優衣の目から一筋の涙がこぼれていた。

彼女の白い頬はそれで濡れていた。

「わたし、君塚さんを……あなたを“父親”だって思ったことは一度もありません」

涙をこらえたような声で優衣は言うと、堰を切ったように泣き出した。

再びリビングが沈黙に包まれる。

2人だけのこの部屋に、彼女の嗚咽だけが目立っていた。