「…おっ……おやすみなさい」

恥ずかしそうに顔中を真っ赤にさせながら優衣が言った。

それから頭を下げると、慌てたようにリビングを出た。

1人にされた私は優衣が描いた絵の前で立ちつくしていた。

恥ずかしそうに顔を紅くさせた彼女を思いながら。


翌朝。

少し遅く起床した私はパジャマ姿のまま、リビングに行った。

朝香と優衣はすでに出かけていた。

代わりに食卓の上に朝食と大小2枚の紙があった。

私はその2枚の紙を拾い、見た。

1枚目の大きな紙は画用紙だった。

それには、私が描かれていた。

昨日の私のように、顔を紅くさせた私の絵だった。

もう1枚の小さな紙は手紙だったらしく、優衣の筆跡でこう書かれていた。

『照れた時の君塚さんが、わたしは好きです』

何を思って描いたんだか。

そうは思っても、嬉しかった。

淡々とした筆づかいで描かれた私自身の絵と手紙を、私は見つめた。