「見ますか?」

彼女がそれを私の前に差し出した。

優衣からスケッチブックを受け取ると開いた。

淡々と、かつ繊細で精密なデッサンで描かれたさまざまな絵。

コンクール入賞はだてじゃない。

「上手いじゃないか」

全ての絵を見終えた私はスケッチブックを返した。

優衣は照れたように頬を紅くすると、それを受け取った。

「その腕前だったら、画家になれそうだな」

優衣がスケッチブックで顔を隠す。

ちょっと言い過ぎた。

「悪い」

私は彼女の顔を隠しているスケッチブックに手をかけた。

顔を真っ赤にさせた優衣と目が合った。

私は慌てて目を反らした。

顔が紅くなっていくのが、自分でもわかった。

何やってるんだ、娘と目が合ったくらいで。

「あの…君塚さんっ……」

少しだけ上ずった優衣の声。

私は彼女を見る。