朝香は取材のため、私の演奏会に訪れていた。

その1週間後、私は彼女が勤めている会社の連絡先を調べ、食事に誘った。

朝香は明るく、人柄のよい性格で周りから好かれていた。

アプローチの末、私は彼女と交際を始めた。

そして、先日婚約した。

「ただ1つだけ問題があるんだ」

私は佐々木に言った。

「何か気に入らない点でもあるんですか?」

不思議そうに首を傾げ、私に聞く。

「いや、彼女が問題じゃない。

娘の方なんだ」

朝香には、高校生の1人娘がいる。

前の夫との子供だ。

彼女は、未亡人だ。

私は子持ちであることも、未亡人であることも承知で、彼女と交際をしていた。