そのスランプの原因がわかっていても、私はわからないフリをした。


その日の夜。私は真っ直ぐに家に帰った。

いつもはどこか適当なところで外食し、夜遅くに家に帰るのだが、今日はそのまま真っ直ぐ帰った。

もうそろそろ、朝香と話し合いをしなければならないと思った。

話し合って、真実を知らなければならないと。

私は覚悟を決めていた。

どんな返事が返ってきても、許してあげようと。

そう思いながら、私はドアを開けた。

「ただいま」

「お帰りなさい」

優衣の声が返ってきた。

夕飯のいい匂いがした。

それにつられるように、私はリビングに顔を出した。

優衣が夕飯の用意をしていた。

食卓の上には大きな器に盛られた肉じゃがが、おいしそうに湯気を立てていた。