永遠の君に

片手で胸を押さえ、振り返る。

今日のような晴れ渡った空みたいな青いワンピースに黒いズボンをはいた優衣が、私の目の前にいた。

彼女は心配そうに私を見ていた。

吸い殻が優衣の足元に転がってきた。

彼女は火のついたそれを、靴の爪先で消した。

「お吸いになられるのですか?」

優衣が聞いた。

私は苦笑すると、
「吸うよ」
と、言った。

言ったとたん、優衣は私のそばに歩み寄った。

「煙草の匂いがする」

もたれかかるように、優衣が私の胸に顔を埋めた。

「死んだ父親も煙草を吸ってたんです。

同じ種類の」

背中に、彼女の両手が回った。

「君塚さんが煙草を吸っていた時の後ろ姿が、父とそっくりでした」

私はそっと、彼女の髪を撫でた。