永遠の君に

優衣の着替えのため、私は一旦家に車を止めた。

家の中で彼女が着替えている間、私は車にもたれかかりながら待っていた。

煙草を吹かしながら、私は思っていた。

何をしているんだ、と。

娘に胸を高鳴らすなと、自分に言い聞かせる。

血が繋がってはいないとは言えど、私と優衣は“父娘”なのだ。

結婚式の時、私は聖母マリアに誓ったはずだ。

優衣への恋心を断ち切り、彼女と“父娘”の関係を築いて行くことを。

それなのに――。

吸い込み過ぎたのか、私はむせた。

指の間から煙草が落ちる。

落ちたそれはコンクリートの地面の上で小さく弾んだ。

そして、コロリと転がった。

「大丈夫ですか?」

後ろから優衣の声が聞こえた。