「結婚おめでとうございます」

そう言ったのは、私のマネージャー・佐々木だ。

「ありがとう」

私は言葉を返す。

これから先の幸せを思うと、顔がにやけた。

今日から3日後、私は結婚する。

結婚相手――簡単に言えば、私の妻は雑誌記者。

名前は、宮部朝香(ミヤベアサカ)。

私とは3つ年上の40歳だ。

彼女とは、1年前に演奏会を通じて知り合った。

演奏を終え、楽屋で一息ついていた私に声をかけたのは、朝香だった。

「君塚誠司さんですよね?」

そう言って、彼女は私に声をかけてきた。

私は彼女の美しさに一目ぼれした。