永遠の君に

その日は、優衣の高校の卒園式だった。

「今日で優衣の制服姿は見納めね」

名残惜しそうに朝香が言った。

「そうだな」

私は朝食をとっている優衣に目をやった。

「式の途中で寝ないでよ?」

朝香が言った。

仕事で式に来られない彼女の代わりに、私が行くことになっていた。

「大丈夫だ」

私は笑った。

優衣と朝香が同時に家を出た。

私は朝食を終え、後片付けを済ませると、寝室に行った。

寝室のクローゼットから、ベージュ色のジャケットを引っ張り出した。

去年の冬に一度だけ着たそのジャケット。

私はそれに袖を通すと、鏡の前に立った。

まあまあか…。

月日が経つのは、とても恐ろしい。

かと言って、他にあるジャケットは地味で暗い色ばかり。